「ネヴィル様のお仲間だそうです」

「では、ネヴィル様からの伝言なの?」

「えぇ、ネヴィル様が貴賓室で待っておいでなので」

「どうしてそれを貴方が?」

「あら、お気づきのはずではなかったのですか?」

「エマ、様ね……?」

 ジャクリンが含みのある顔で私を見る。
 ネヴィル様は上位貴族だ。 そしてエマ様も。

「ネヴィル様お一人で、待っておいでなの?」

「失礼だと思いませんか? 婚約者のネヴィル様が他の令嬢を伴って、フロタリア様をお招きなさるなんて」

「まさか、そんな……」

「どうなさいますか? 私は今から所用で先生に呼ばれていて、一緒には行けないのですが」

「いいわ、ネヴィル様が呼んでいるのなら私一人で行ってみる」

「心配ですわ、フロタリア様お一人で行かせるのは」

「大丈夫。 私は平気よ」

 自分を奮い立たせるように握り拳を作って言ってみた。
 そうでもしなければ、きっと弱音が口からこぼれてしまいそうになる。