コゼットと入れ替わりでジャクリンが来てからというもの、入学以来あんなにも見ていた悪夢を不思議と一切見なくなった。
 毎日とても穏やかに過ごせている。
 これはどういうわけなのだろうか。

 ジャクリンはとても親切で、学舎や食堂、図書室等でもいつも率先して私と行動を共にしてくれる。
 明るい笑顔と屈託のない表情、それでいて甘く、吸い込まれそうな輝く瞳のアンバランスな雰囲気が周囲を惹くようだ。

 一方のコゼットはジャクリンとは反対に、何を考えているのかわからない無表情さが冷艶な雰囲気を漂わせている気がする。
 見た目は勲爵士の娘らしく、華美ではないのに内に秘めた情と色がさらに魅惑的だ。
 もしも彼女が貴族だったなら婚約の申し込みはひっきりなしだろうに、そういう相手はまだいないのだと言う。

 そしてジャクリンも同様に、婚約者にはまだ恵まれないらしい。 これだけ素敵な明るさと時折見せる甘さは殿方には喜ばれるだろうに。