転移先の家はごく普通の、私に言わせればつまらない家。 貴族でも貧乏でもない、施しや憐れみとは無縁の。
 それでも転移の際にそこを選んだのは、私の感情が動く事がないと思ったからだ。
 そうでなければ、あの女に近づけないから。

 貴族令嬢に親切な平民出身の娘、ジャクリン。

 案の定にして世間知らずはそんな私に対して簡単に心を開いてくれた。
 思い悩み、心を傷つけ砕かれる様は見ていて本当に楽しかった。