悔しい、悔しい。
 どうして最後までこんな目に?
 あの世へも地獄へも行けず、何もかもが泡のように消える呆気ない幕切れ。

 あの部屋から審判者に連れられてやって来たのは、四方を闇に囲まれた無の空間。

 耳鳴りと全身の皮膚を刺す刺が奇声を上げたいと訴えているのに、その声が奪われて痛みは奥へ奥へと入り込む。
 およそ地獄の方がまだマシだと思える程の苦痛を伴いながら、この空間で私を囲む姿無き審判者の光る目がジワジワと恐怖を募らせる。

 わかっている、これからどうなるのか。
 デュークもおそらく、私同様の裁きを受けるのだろう。

 あの女を殺したかった。
 この手で地獄へ突き落としたかった。

 私の存在しない世界で、あの女が幸せになるなんて許せない。
 私の存在する世界であの女が恐怖を味わいながら、地獄へ落ち続ける様を眺めていたかったのに。