丘の上から見下ろすと、遠くにお父様の待つ我が邸がある。
 ずっと寂しげだった。 それでいて、お母様によく似た私をいつも大事にしてくれた。

 もうすぐ私は愛する人の妻になるのだ。
 身分の差はあれど初恋だったから、どうしても叶えたかった。 その想いがようやくお父様に通じ、結婚の許可を得られたのだ。

 なんとかしたかった。 お父様がお母様のいない寂しさに耐えられなくなる前に、私の手で。

 本当はお父様は反対していた。 転生させられたお母様の元に行く事に。
もしも私までお母様と同じ目に合ったら……そう考えたのだろう。

 だが、コゼットが協力してくれる。
 彼女は魔術の使い手として協力な味方で、これほどに優れた人材は他に類を見ないと聞く。

 一方、私の転移能力はコゼットほどではないが、お祖父様から受け継いだ遺伝のおかげでそれなりに苦もなく使えている。