……なぜに線香花火。別にいいけど。
しかも相手は俺なんだ。別にいいけど。
「……対決しねえ?」
「……なに企んでんの」
「人聞き悪いな~。
……ただ、俺が勝ったら、告白していい?」
ん?と。
引っ掛かったワードに、首をかしげる。していいも何も、しょっちゅうレイに好きだって言ってんじゃん。というか告白したんじゃなかったっけ?
「告白したけど、やっぱりちゃんと意識してほしいからさ……
もっかい、真剣に言おうと思って」
困ったように笑う雪深。
普段はへらへらしてるくせに。……レイへの気持ちだけはどうしようもなく本物で、好きだって見せつけられてるみたいな気分になる。
「じゃあ俺も……勝ったら言おうかな」
「ん。負けたらどうするよ~」
「レイと1ヶ月デート禁止」
滅多にふたりで出掛けることもないから、負けた時のことは緩めで。
雪深も納得したようで「りょーかい」と、持っていた線香花火の一本を俺に差し出した。
「じゃあやるよーぅ」
なぜか一番楽しそうな芙夏の声で、線香花火に火をつける。
小さな羽のように火が上がると、あっという間に丸くなって、ぱちぱちと儚げな雰囲気で火花が散っていく。
男三人で線香花火してる絵面ってキツい。
さっさと決着つけばいいのに、なんて、わずかな潮風に煽られた線香花火は。──ぽつ、と落ちた。



