「ぼくは……
いまのこいちゃんの方が、こいちゃんらしくて好きだよ」
「……憐れでしょ」
「なんでそういう言い方しちゃうのー。
……苦しいぐらい誰かを好きになれるって幸せだもん」
「………」
「レイちゃんも、たぶんわかってるよ」
一人傍観していた彼女の元に、憩さんが歩み寄る。
遠くて声は聞こえないけど、ぽつぽつと会話しているふたり。憩さんがレイのことを本当に大事にしてるっていうのは、この短時間ですぐにわかった。
レイに、素っ気ないし冷たいけど。
でもその裏には優しさと愛おしさばかりで。
「……お似合いだよね、レイと憩さん」
あのふたりだけ、空気が違う。
くす、と彼女が笑って、こちらに気づいて手を振ってくれた。芙夏が振り返すのを、彼女の隣で見ている憩さん。
まるで自分のものだって言うみたいに。
声の聞こえないここでも、彼が「雨麗」と呼んだのがはっきりわかった。
「胡粋~」
滑らかな撫でるような声で名前を呼ばれて、意識を引き戻される。
すっかり大人組に懐いた雪深と、話が合うのかいつもより話していたはとりと、雛乃さんのいじるターゲットにされていたシュウ。
だからこそ芙夏とふたりで話していたわけだけど、そこに乱入してきた雪深は、悪戯っぽく笑う。
その笑みさえ綺麗なんだから、この男も大概ムカつく。レイに恥ずかしげもなく好きだって言ってるのも、なんとなく、ムカつく。
「線香花火しよ? 芙夏もする?」



