「それはなんか、思った以上に、お嬢に振られたダメージでかいだけ。
……俺も正直こんなに落ち込むと思ってなかったし」
「……うん」
「胡粋も、たぶん怒ってるよりは落ち込んでんだと思うけど?
あんな風にムキになるぐらい、すきなんだろ~?」
「……うん。
でも、このままだとほんとにばらばらになる、」
「そうだねえ」
ゆきちゃんが、一度お箸を置く。
どうしたのかと思えば腕を伸ばしたゆきちゃんにわしゃわしゃと頭を撫でられて、ぱちぱちと瞬きした。……なにこれ。
なんでぼく、
ゆきちゃんによしよしってされてるの?
「お前さあ、一番はじめからお嬢に懐いてて。
せっかく仲良くなったと思ったら、今度は自分の発言がきっかけでこうなったって、すげえ気にしてるだろ~」
「……うん」
「気ぃ張りすぎ。
……お前は、お前のよく出来る兄貴じゃねえんだから」
「、」
「そんな必死にならなくていーよ。
お前がやりたいようにやったって、ここじゃ誰も怒らない。……むしろ俺らはやりたいことしかやってねえんだから」
そうか。
……そっか。そうだ、ぼく、は。
「っ……、ぼくのせいじゃないって、みんな言ってくれるけど、でもっ、やっぱりぼくが言ったせいで拗れちゃって……っ。
せっかく仲良くなれたのに、このままばらばらになっちゃうなんて、嫌だもん……っ」



