「どうでした?」
「ありました。……でも、」
書き込みは、されていなかった。
相当怒ってるんじゃないかな、と不安ばかりが大きくなっていく。もし書き込みされていたら、レイちゃんには申し訳ないけど、勝手に五家のみんなに見せるつもりだった。
見せて、「レイちゃんはレイちゃんだよ」って。
仲直りしてもらうつもりだったのに。
「茲葉様。
……本日、五家の皆様が全員揃われるのはいつだったか覚えておられますか?」
「え、と……シュウくんはジムに行ってるから、たぶんお昼ご飯いらないと思うし……
ぼくもこのあと夕飯まで通しで稽古だから、たぶん夕飯の時ならいると思います……みんな食べてすぐに部屋帰っちゃうけど……」
わかりました、と小豆さんが頷く。
何やら企みのあるらしい小豆さんに内容を尋ねようとしたら、稽古を終えたレイちゃんが戻ってきたから口を閉ざした。
「あら、芙夏。
これから昼食で、そのあと稽古よね?ゆっくりして先生を待たせちゃだめよ?」
「あ、うん……
でも早く行くと誰かがその稽古部屋使ってることあるから、迷惑かなぁって……」
「そうね。芙夏が行く稽古部屋、今ははとりが稽古を受けてるはずだから。
ああ、そうそう。今日の昼食はあなたと雪深だけ時間がかぶってるから、部屋もいつもと違う場所よ?間違えないようにね」
「うん。じゃあぼく、お昼食べてくるね」
「ええ、いってらっしゃい」
見送られて、少人数の時だけ使う部屋に向かう。
といっても、その部屋でも余裕で五人食事ができるほどの広さがある。レイちゃんが、ぼくたちに広い部屋をとってくれてるだけで。
……あれ。そういえば何気なく聞き流したけど、なんでレイちゃん、ぼくたちの稽古時間から場所から食事の部屋までぜんぶ頭に入ってるんだろう。
小豆さんでさえも、全員が揃う時間を把握していなかったからぼくに聞いてきたっていうのに。



