「わざわざ連絡くれてありがとう。
ふふ、みんなの話を聞けたおかげで昨夜は安心して眠れたわ」
「……ちょっと待ってレイ」
「お嬢。
胡粋と俺はまだわかるけど。……柊季?」
めんどくせえ。明らかに俺のこと敵視してやがる。マジでめんどくせえ。
深い意味なんてねーよ、と余計なことを言われる前に、先に口を開こうとしたのに。
「ええ、柊季も連絡くれたのよ。
一番最後にかけてきてくれたから寝る前まで話してたんだけど……よく考えたらそんな風に柊季と話したの初めてで、ちょっと嬉しかったの」
「寝る前最後に俺と話して欲しくて胡粋よりも後にかけたのに……
なんでお前まで連絡してんだよ……!」
「知るかよ。
お前らみたいに下心で電話してねーし」
用事があったんだよと言えば、雪深がふいっと顔を背ける。
ガキか、とまたため息をついていたら、まだ腕の中にいたらしい芙夏が、「レイちゃん」と彼女を見上げた。距離の近さにそのうちこいつらキレんぞ。
「結局、犯人は誰だったの?
誘拐された目的とか、何も聞いてないし……」
「この子たちを雇ったのは……
同じ学校に通う高校生よ。前にわたしが襲われかけたとき、雪深のことを好いてる女の子たちがいたでしょう」
「え、また同じヤツらにやられたわけ?」
「そうじゃなくて。
芙夏を除くあなた達のことを好いてるファンクラブみたいな組織があって、そこから派生してる雪深のことを好きな子たちが、この間の犯人」
「みんなにファンクラブとかあるんだ……
うん?じゃあ、結局レイちゃんを誘拐した犯人は誰なの?そのファンクラブの人?」
「……ファンクラブのリーダー格ってところね。
前の件は同じ学校の男を使った犯行だったけど、お金持ちの子がプロを雇ったのよ。わたしのことを懲らしめたいとか、そのあたりでしょう」



