んじゃお先ー、と別邸にもどってすぐに風呂に引っ込む雪深。
……どうでもいいけどあいつ普段風呂長くなかったっけ。別にすげえ長いって訳でもねえけど、俺らの中じゃ確か一番長かったよな。
「……じゃあ。
俺は雪深が風呂から上がってくる前に、先にレイに連絡してこようかな」
「お前も連絡すんのかよ……」
「いいでしょ、別に。
……雪深に負けてらんないっての」
小さく零した胡粋が、部屋に引き上げる。
芙夏も何かあるのか、「ぼくお風呂後でいいよー」と先に部屋に行ったから、リビングに残ってんのは俺とはとりだけ。
「はとり。……お前明日の朝行くの?」
こいつも大抵、何考えてんのかわからない。
ただその瞳の中に揺らぐことのない大きな何かがあるのは確かで。それが少なからず、良い方へ進むものなのかと問われれば、素直には頷けなかった。
「ああ。……どうせ他のヤツらも行くだろ」
「……まーな」
「お前も行くんだろ?」
「……一応来いって呼ばれてっからな」
しばらくして、珈琲淹れるけど飲むか?と席を立つ。
「ああ」と返事を受けて、必然的に片方はブラック。……お嬢程ではねえけど、なんだかんだ、俺らもお互いのことにはそれなりに詳しくなってきた。
「柊季俺の分も~」
「はあ?
……シロップだけは自分で入れろよ」



