触れないで、杏里先輩!


「気をつけて帰って下さい。ではまた明日」

担任の言葉で今日の授業も終わり。
私は荷物を纏めて帰る準備をする。


「ねぇー、坂井さん」

「え?」

その時突然私を呼ぶ低い声が聞こえてきて、驚きながらも顔を上げる。

すると目の前には名前も知らない男子がいつの間にか立っていた。

何故か気味の悪い笑顔を携えて。

嫌な予感がした。


「ねー、本当に倒れちゃうの?確かめさせてよー」

予感は的中していた。

私が何も言っていないのに、勝手にこちらに向かってくる大きな手。