「えっ……」

美加子と香奈子の声が重なる。


私は構わずに言ってみる。

「私、今この瞬間から、この優大のファンになります」



「えーーー!?」
美加子と香奈子が私を見開いた目で見て、仰天した。




ただ、ひとりだけ。

日向は違った。



キラキラと輝くような瞳でこう言ってくれた。


「推すなら、私が色々と教えてあげる!!CDも貸すし、DVDだって、録画した番組だって、一緒に観ようよ!!」



はしゃぐひ孫に、私は病気の話をしていないことを思い出した。



……忘れてたわ……。











その夜、リビングで美加子と香奈子がふたりで話していた。

トイレからの帰り。

聞くつもりじゃなかったけれど、廊下までふたりの話し声は聞こえてくる。



「笑子ばあちゃん、ショックでどうにかなっちゃったんじゃない!?」


「こういう時、どこの病院に行けばいいのよ?」

「知らないよ……!」



コソコソ話しているふたりに声はかけずに、自分の部屋に戻る。


私は何となく可笑しくなってきて、ひとりクスクス笑ってしまった。