「話して頂けますか?」

 私の覚悟に気づいたのだろう、お父様は立ち上がってソファーへと移動し、私の隣に座った。
 お父様が緊張している。 手の甲が白く、血の気が失われている気がする。
 そして息を一つ吐き、話し始めた。

「お前の落馬事故は私達家族だけでなく、ロナウド君にとっては後悔と懺悔の日々だった。 自分のせいだと罪を背負う姿は見ているだけでも哀れでな。 だからというわけではないが、私達は責める気には全くならなかったのだよ」

「ロージー、ですね?」

「あの子は姉のお前が大好きだったから、一向に起きないお前の側から片時も離れようとしなかった。 そんなロージーを支えたのが彼だった」

「そしてロージーもまたロナウドを……?」

「それが互いへの絆に変わっていくのを感じた。 リリィを通しての絆という愛にね」

「昏睡状態から目覚めなかったから、私を見捨てたのですか?」