笑い話にもならない。
 ジェイなら笑ってくれるだろうか、それとも怒ってくれるだろうか。
 或いは……。

「ねぇ、ジェイ。 貴方はどんな家庭を作るのかしら」

 ここにはいない彼を想い、胸が痛くなる。

「リリィ様」

 いきなり背中から声を掛けられて身体がビクリとしてしまう。

 侍女だ。 いつも通りの冷めた顔で立っている。

「準備は整いました」

「そう、ありがとう。 今までご苦労様。 貴方には迷惑掛けたわね」

「いえ、私は……」

 彼女は引き締めた表情で俯いた。

「お父様には夜にでも話すわ」