「親犬を探す手立てはありませんし、森に返すわけにもまいりません。 どうしたらよろしいのでしょう……」

 すると、寝そべったままのジェイがチラリと視線だけを私に向け、言った。

「君は優しいね。 俺が勝手に拾って連れて来ただけなのだから責任を感じる必要なんてないのに」

「ここまで連れて来た時点で私にも責任があります。 こんなにも可愛い子犬を見捨てては罪悪感に苛まれてしまいます」

「気にしなくても大丈夫さ。 邸に連れ帰って俺が育てるから」

「ジェイが自らですか?」

「飼った事も育てた経験もないけどね。 まぁ、なんとかなるよ」

 そう言って寝そべっていた身体を起こし、向かい側のソファーに座る私を真正面から見つめて言った。