「あれ? そういえば、ロナウドの婚約者は寝たきりだと聞いたが……」

「えぇ。 ですが、この通り元気になりました」

「そうか、それは良かった。 さぞかしロナウドも安堵しているだろう」

「それで、ご用件は?」

「森を半分まで歩いて来た所で、鳴いているのを見掛けてね。 どうやら捨てられたらしくて震えていたのさ。 水でも飲ませたら少しは落ち着くかもしれないだろ」

 身なりはみすぼらしいが、悪人ではなさそうだ。 弱った子犬を見捨てられなかったのだから。
 私は彼を勝手に非難した事で、少々の罪悪感に苛まれた。 その償いではないが、せめてもの罪滅ぼしはしなければ。

「でしたら、私が一緒にまいりましょう」