×月×日

 誰かの助けを借りなければ、何もできないのがこんなにも悔しいものだとは思わなかった。

 部屋の寝台で上半身を起こして読書をしていた私は喉が渇いて飲み物が欲しくなった。
 ところが、お茶は空で入っていない。
 誰かに持って来てもらおうと声を上げても、部屋の外は静まり返って気配を感じない。

 ロージーやお母様には支え無しの一人で動くなと言われていたので、しばらくお茶は我慢して読書を続けた。

 だが、一向に使用人は姿を見せない。
 ロージーは客人の訪問があったとかで相手をしなければならず、使用人もそちらに掛かりきりなのかもしれない。

 それならば自分で歩いて使用人に頼みに行こうと思い、ドアの方へと向かった。

 ところが三年の長さを思い知ったのは、寝台からドアまでの僅かな距離を歩けなかった事。

 気づいてはいた。 自分の身体が細く、体力がなくなっている、と。
 食事も少量を時間を掛けなければ入っていかない。
 こんなにも弱ってしまったのかと愕然とした。
 だから体力をつけたい気持ちもあったのだ。

 一歩一歩、ドアへと近づくにつれて不安定な身体がぐらつく不安と恐怖、それでもきっと大丈夫だと暗示を掛けるかのように呟いた。

 あともう少し、そう思ったのも束の間。
 私の身体はバランスを崩して床に倒れてしまった。