すると、途端に得意げな顔になる由良ちゃん。


「ふふ、ありがと。喜んでもらえてよかった~」


「あれ? そういえば、夏帆ちゃんは誘わなくてよかったの?」


ふと、眞白くんが思い出したように聞いてくる。


「あ、うん。夏帆ちゃんは今日は部活のミーティングがあるから、部室でお昼食べるみたい」


「そっかぁ。夏帆ちゃんも忙しいんだね」


「そうなの。今度他校での公演があるみたいで」


なんて二人で夏帆ちゃんの話をしていたら、その時向かいに座る由良ちゃんが、お弁当の中の卵焼きを指差して言った。


「そうだ、この卵焼き、楓の大好物の甘い卵焼きだよ」


そしたら楓くんは目を輝かせたかと思うと、すかさずその卵焼きを箸で取り、自分の口へと運ぶ。


「あ、ほんとだ。うまい」


美味しそうに食べる彼を見た瞬間、満面の笑みを浮かべる由良ちゃん。


「ふふ、よかったぁ。楓、昔からこの卵焼き大好きだもんね」