「あら、安井先輩こんばんは」


「……」


「花ちゃんも、浴衣が似合ってて可愛いよ」


「椿……」


 直前までの楽しくて幸せな時間は吹き飛んで、私と先輩は言葉を詰まらせた。


「安井先輩、お腹の調子はどうかしら?」


「……」


「次は、どこにしようかな……ふっ、ふふふ……」


 教室で同級生たちと話す、春日と別人みたいな印象。

 妖艶に横目で見つめながら、うっとりした表情で何だか怖い。

 笑顔が可愛い春日だけど、ちょっと不気味に見えるのは気のせいかな……


「制服なんだね、学校で何かやってたの?」


 私が春日に向かって口を開く。

 こんな時間に、制服姿で歩いてるなんて不自然に思った。

 まさか、この場所で会ったのも偶然じゃないのかな……



 だとしたら、何を……