「花ちゃん、おはよ~」


「あっ、おはよう……」


「あれれ、なんか元気ないね?」


「うん……」


 梅雨の季節が終わって気温も上昇、本格的な夏がせまっていた。

 高校一年生の私、花田 鈴(はなだ すず)は初めての期末試験に少し不安を覚えてる。


 遊んでばかりだったので、学力試験の結果も良くなかった。

 小中高と学校が一緒で幼なじみの女の子、春日 椿(かすが つばき)に勉強を教わっていなかったら赤点だったかも……


「おい、花田 鈴!聞こえないのか!」


「すいません、聞こえてます……」


「だったら返事ぐらいしろ!」


「はい……」


 ぼーっ、としてたので先生に怒られてしまった。

 朝のホームルームで出席確認をしてた時、自分の名前を呼ばれても上の空。


「花ちゃん、どうしたの?先輩とケンカでもした?」


「安井先輩と……べつに、してないけど……」


「じゃあ、何かあったとか?」


「なんでもない、椿には関係ないよ……」


 幼なじみで同級生、高校に入って同じクラスになった春日 椿が私を心配していた。

 笑顔が可愛い女の子、腰まである長い艶やかな黒髪の美人さん。

 言葉遣いも優しくて、男子から人気もある。



 そんな彼女と私は、とても気まずい関係にあった……