知らないうちに寝てしまったようで、気づいたら朝だった。


 昨夜のことは夢であってほしいけど、床に落ちていたスマホを見て我に返る。

 スマホを手に取り、恐る恐る画面を見ると真っ暗なので電源が切れてるようだ。

 あんなに激しく部屋の壁に投げつけたのに、傷や壊れてる部分がない。


「あれはきっと……疲れてたから、幻覚かな……」


 ふと目覚まし時計を目にした私は、現実に戻る。


「もう、こんな時間!」


 制服に素早く着替え、スマホを手に持って洗面所へ向かう。

 水で濡れないように、洗面台の横にある棚に置くのはいつもの癖。

 鏡を見ながらヘアゴムで髪を纏めてると、着信音が鳴った。

 手を止めず、無意識にスマホの画面を横目で見ると……


「うそ……」


 薄暗い池の水辺が画面に映し出されてる。


「なんで、どうしてなの!」


 動揺しながら視線を鏡に戻して、自分の姿を見つめる。

 すると……


 鏡に写る自分の制服姿



 その背後に、水で濡れた髪の長いアイツが立っていた……