「可愛い子だけど、オレ、あの子のこと何にも知らないし。歩が好きな子だから応援したいけど、でも歩が傷つくのはなー」

「おいおい、振られる前提で話してるだろう」
思わずツッコむ。

茶化したつもりだけど浩人は真剣な顔つきになって、
「ってか、そもそも告白とか考えてるの?」
と聞いてきた。


告白。


……苦手ー。


「今、心の中で『苦手ー』って思っただろう」

浩人はするどい。

「お前って見た感じグイグイいきそうだけど、マジでシャイだもんな。その証拠にまださやかちゃんに連絡先も聞いてないし」


……うっ。

「結局、中学ン時も告白しないでさー。そのまま卒業しちゃったもんなー」



人の痛いところばっかりつきやがって。



「……で?」


「『で?』って、何?」

「何でさやかちゃんが好きなの?聞かせてくれよー」

「お前、楽しんでるだけだろ!」

浩人がマスクの下でニンマリ笑ったのが、オレには分かった。










結局うやむやにして、浩人には話さないまま、家に帰って来た。


さやかちゃんは可愛い。

外見ももちろん可愛いけど、それだけじゃなくて……。

でも、さやかちゃんの可愛いところとか、好きなところは、オレだけが知っていたい。