「……いや、うーん。そうだけど……」

漫画雑誌をパラパラめくる。

もう漫画の内容は頭の中に入ってきていないけど。


「しかもお前がその時に好きだった子さ、すっげー良い子だったよ?すっげー良い子だったけど、可愛いっていうか、うーん……」

浩人は真剣に言葉を探している。


いやいや、それはあの子に失礼だろう。


「優しい子?」
浩人が呟いた。

「そうだよ、めっちゃ優しい子だったよな」


その言葉に返事はせず、オレは漫画雑誌を閉じて浩人を見る。

上下に振ったジュースを飲み始めた浩人は、少しだけ不思議そうにパックの中を覗いた。



……な?果肉入ってないだろ?

心の中でツッコむ。




「でもさー」
浩人はパックから顔を上げて、オレを見た。


「オレはお前のそういうところ、好きだけどなー」

ぼんやりと呟く浩人にオレは恥ずかしくなってきて、
「うるせー」
と返す。


「でもさやかちゃんって、外見がめっちゃ可愛いじゃん。いや、可愛い子を好きになるなって事じゃないけど、歩が好きって思う理由がさー、かえって分からないっていうか……。」

浩人の声がだんだん小さくなっていく。