ランデブー

さやかちゃんは行ってしまった。

遠い町へ。








夏が終わって。


景色が秋の色で彩られていく。



あの日。
デートした日が嘘みたいに思えることがある。


今、さやかちゃんが隣にいないから。




オレたちのあのデートは、さやかちゃんにとって、現実からの逃避行みたいなものだったのかもしれない。


でも、それでもいいんだ。






忘れられない日。







そして、きっとこれからだって楽しいデートを重ねていくんだ。



オレとさやかちゃんで。






「リンリンリン」




スマートフォンに着信。



「もしもし、さやかちゃん?」




オレは大丈夫。

さやかちゃんだってきっとそうだ。




今度、さやかちゃんに会いに行こう。


電話越しの可憐な声を聞いていると、たまらなく会いたくなった。




さやかちゃん、きみに会えたなら。


オレはきっときみを抱きしめる。



ぎゅっと、心を込めて。







        ー完ー