さやかちゃんは腕の力を緩めて、オレから離れた。





オレを見上げて、数秒。


「あはっ!」


……何故か笑われた。



「!?」




「ごめんなさい、先パイの予想外の赤面を見ていると……」



そう言って、クスクスと笑い始める。





「さやかちゃん……!」


オレの恥ずかしさは倍増されていく。






「嬉しかったです、今日ずっと」


さやかちゃんがニッコリとして言う。


目元が真っ赤になった顔。

まだほんのり湿っているマスク。



それでも。



……あぁ、キレイだなって思った。





「そういえば先パイ、私、気づいたんです」



「え、何?」



「私たち、まだ連絡先を交換してないんですよ」


今更気づいたの?


言いかけてやめた。





オレがスマートフォンを取り出し、
「交換しようよ、連絡先」
と言うと、
「はいっ」
と、さやかちゃんはまた、あの可憐な声で嬉しそうに返事をくれた。





それから。