その時。


さやかちゃんの乗る電車がホームにやってくるというアナウンスが流れた。





「……じゃあ、先パイ。私は、これで……」


さやかちゃんはオレに背中を向けた。





また、オレはひとりで残されるんだ。


さやかちゃんはさっさと行ってしまう。

いつもみたいに。




……終わった、オレの恋。






さやかちゃんの後ろ姿を見ていると、涙目になってきた。




泣きたくない。





そう思って、オレもさやかちゃんに背中を向けた。






電車がやってくる。

背中の向こうで、電車のドアが音を立てて開いたことが分かる。






さようなら。

さやかちゃん、元気で……。






やっぱり涙が出てきそう。


思わず上を向いて、涙が流れないように精一杯の抵抗を試みた。







ドンッ!!!







「!?」





背中に衝撃があった。