「おっす、歩」

声をかけてきたのは中学からの友達の、前田浩人(まえだひろと)

浩人とオレが並んで歩くと、周りの人は心配そうな目で見てくる。

派手にしているつもりはないけど、派手らしいオレ。

浩人は見るからに優等生で、小柄な体格。


友達にならなさそうだって周りからは言われる。


でも、オレは浩人といると楽しいと思うから、いつも一緒にいる。


「……何だよ、じっと人を見つめて」
浩人が引き気味な態度で、でもオレのそばまで来る。

「『見つめて』ないし。ってか、そのワード使われると……なんか、変な感じだからやめろよ」

「いやいや、今のお前は確実にオレを熱い目で見つめてたからね。それはそれは恋心がうっすら見えるような……」

「うっすらって……。朝から笑えること言うの、本当やめてほしい」

ふたりで冗談言いつつ、笑った。


浩人は笑いすぎてメガネのレンズを曇らせている。


「うー、マスクしてるとすぐにレンズが曇るんだよなー」
メガネを外して、メガネ拭きを取り出す浩人。