「どうします?これから」


さやかちゃんはそう言って時計を見た。




……あ、そっか。
時間。


もう夕方。

女の子をあんまり遅くまで連れ回しちゃダメだよな。




「さやかちゃん、今日は……」
……もう駅まで送るよって言うつもりだったけれど、さやかちゃんが突然、
「公園!」
と言った。


ん?



「先パイ、この近所って大きな公園あるんですよ、行きましょう」


「え、でも、時間は……」


「行きましょう!!」


さやかちゃんはオレの返事を待たずに、サクサクと歩き始めた。















公園には歩いて10分くらいで着いた。

その間、さやかちゃんは特に何も話したりしなかった。

ただ黙って。

でも並んで歩いてくれた。


沈黙による居心地の悪さなんか感じなかった。



むしろ心地良い時間にさえ感じた。



夏の夕方。

まだ空は明るくて。

白い雲がもくもく浮かんでいる。



生ぬるい風が吹いて、まだまだ暑い日は続くんだろうなと思った。




……今日、気持ちを伝えたら。

もしかしたらこんなふうに隣を歩けなくなるかもしれない。

でも。