ランデブー

さやかちゃんはにっこりと笑う。



「先パイって、優しいですね」


え?



オレが優しい?

いやいや、その前に!


今、さやかちゃんが笑ってくれた!!



いつもつれない態度ばっかりだったのに。


心の中がお祭り騒ぎになっているオレ。

でもさやかちゃんはまたいつも通りのクールな表情に戻って、
「クレープ、食べないんですか?」
と言い、黙々と自分のクレープを食べ始めた。



今度は美味しそうに食べている。



良かった。






オレもマスクをはずして、さやかちゃんを真似して「いただきます」と言ってみた。














「クレープ、最高でした」

食べ終わったさやかちゃんは、マスクをつけながらオレにペコッと頭を下げて「ごちそうさまでした」と言った。



「いえいえ」



オレもマスクをつけようとすると、さやかちゃんが「先パイ、ストップ」と言った。


さやかちゃんの細い指がオレの顔のほうに伸びてくる。



!?




口の少し横。

さやかちゃんの指がほんの少しの力を加えつつ、横にスライドされた。



「付いてました、チョコレート」




えーーー!!!



恥ずかしいけど!!!



何、この嬉しさ!!!





「ありがとう……」



声がほんの少しかすれた。





ハッと気づいて、ポケットティッシュをさやかちゃんに渡す。



「ああ、すみません」


さやかちゃんは自然な動作でそれを受け取り、指を拭いた。