……いやいやいや。
落ち着け、オレ!!!
さやかちゃんは「いただきます」と言ってマスクをはずし、クレープを食べ始めたけれど、なんとなく嬉しくなさそうに見えた。
せっかく食べたかったクレープを食べているのに、オレのせいで美味しく感じられないのかもしれない。
「……ごめん。実はさっきからカッコつけてるだけなんだ」
ここは正直になろう。
さやかちゃんを不快にさせているんじゃ、オレも悲しいから。
「本当は全然慣れてないし、妹はいるけど、まぁ、今は関係ないかも……」
「……」
さやかちゃんは黙ってオレを見つめている。
「デートするのだって……、は、はじめてだし」
心底恥ずかしかったけど、さやかちゃんに嘘をつきたくなくて。
耳が赤くなっていくのが自分でも分かる。
「私も誰かとデートするのって、はじめてです」
さやかちゃんはそう言いつつ、オレをまじまじと見ている。
「な、何?」
さすがに恥ずかしさのメーターが振り切れそうになる。
そんなキレイな目でじっと見つめないでくれ。
「先パイって……」



