ランデブー

ふたりで注文する。


「お会計は分けますか?」
と、店員が聞いてくれたので、
「いや、いいです」
と素早く答えた。


さやかちゃんが驚いている。



ふたり分支払い、クレープをふたつ受け取ると、さやかちゃんにひとつ渡した。


「先パイ、おごってくれるんですか?」
広場のベンチに腰掛けながら、さやかちゃんが聞いてきた。


「え?うん」

何故かさやかちゃんは不服そうだ。


「どうしたの?」

オレの問いかけにさやかちゃんは、
「……なんか、慣れてる」
と呟いた。


「え?」



「先パイ、女の子に慣れてますよね」

……いや、全然慣れてないんですが。


そう言いかけて、やめた。


それはさすがに悔しい気がして。



「いや……、うーん。妹がいるからかな?」


「『妹』ですか……」

まだ不服そうだ。


「デートって言ってたのに」


え!?


何、この流れ!?



……マジで抱きしめたい!!



なんでそんなに可愛いこと言うかな!!


反則だって!!