ショッピングモールに着いた。

さやかちゃんはそわそわしている様子。

「……どうしたの?」

心配になって聞いてみる。


「……あ、ごめんなさい。クレープが楽しみすぎて……。口の中はもはや生クリームとイチゴのハーモニーを待っているというか……」


意外な言葉に、オレは吹きそうになった。



可愛い!


「美味しそうだもんね」


オレもクレープが楽しみになってきた。




広場に着く。


スマートフォンで見た写真の車が、広場の端のほうに止めてある。



時計を見ると、開店まであと5分くらい。


「先パイ、メニューが見られるみたいですよ」

さやかちゃんの声がウキウキしている。


オレの制服の裾を引っ張って、さやかちゃんが車の前まで行く。

なんか嬉しい。


車の前には看板があった。

そこには『移動販売 クレープのお店』と書かれていて、メニュー表も書いてある。



さやかちゃんは生クリームとイチゴのクレープに決めていたらしい。

オレはチョコレートとはちみつのクレープに決めた。


「いらっしゃいませ」
店員が声をかけてくれる。