エントランスホールまで降りると、東城と仕事帰りらしい誠孝が話していた。
「お疲れ様です~」
と日子は思わず言って、
「職場か」
と誠孝に返される。
……沙知見さんが仕事のときの格好のままだからですよ、と思う日子に東城が訊いてくる。
「部屋片付いたか?」
「さっき帰ったのに、今、片付くわけないじゃないですか」
日子は、どこから手をつけていいのかわからない部屋を見て、今すぐ、このマンションに新しい部屋を借りようか、近くに家を買おうかとまで思ってしまった話をする。
東城が日子の手にある財布を見た。
「それで今から家を買いに行こうと思ったのか」
いや、あの、私の財布、一体、いくら入ってるんですかね……?



