「東城先輩。
いいこと聞いたんですよー」
日子が帰ったとき、東城は、またマンション前庭の草をむしっていた。
いきなり背後からそう言って、うわっと驚かれる。
「ああ、日子か。
おかえり」
……おかえりって言ってもらえると、なんかホッとするな。
東城先輩がここの警備やってくれててよかった。
でも、なんか訳ありで、ここに来たみたいなんだけど、と思ってはいたが。
普段から、あまり人の事情に首を突っ込むことのない日子は、やはり、ここでも突っ込まなかったので。
東城が何故、ここで警備員をやることになったのかは知らないままだった。
「先輩も片付けられない人でしたよね」
「……なんだ、その決めつけ」
いや、ご自分でおっしゃったんじゃないですか……と思いながら、日子は言う。



