昨日、あなたに恋をした

 二人で、おじさんに挨拶し、外に出た。

 日子と並びかけ、つい、早足になってしまった自分に追いついた日子が言ってくる。

「沙知見さん、珈琲でもおごりますよ。
 あっ、でも、もしかして、今日はお急ぎですか?

 ずいぶん出勤早いですけど」

「いや、俺は普段からこの時間だ」
と言うと、あ、そうなんですか、と日子は苦笑いしていた。

 彼女と朝、出会ったことはないから、もっと遅い時間なのだろう。

 ギリギリまで寝くたれている日子を想像し、つい、笑ってしまう。

 妄想の中の日子は、ゲームのコントローラーをつかんだまま、テレビの前で果てていた。

「朝、職場でゆっくり珈琲を飲んでから、仕事したいんだ」

 それで早めに行くのだと言うと、そうですか、と言った日子は、
「じゃあ、今、珈琲飲まない方がいいですね」
と言う。