昨日、あなたに恋をした

 じゃあ、と向かい合わせになっている部屋の前で日子が言う。

 今まで味わったことがないような微妙な気持ちで誠孝が鍵を開けていると、

「あ」
と日子が後ろで声を上げた。

「沙知見さん、スダチお好きなんですよね?
 またいただけるみたいなんで、今度、お持ちしますね」

 そう微笑み、日子は部屋に消えていった。

 仕事で対峙するときとは全然違うその顔を部屋に入っても誠孝は何度も思い返していた。

 ……仕事中は、そっちが斬りかかってくるなら、こちらも容赦はせぬ!
 みたいな顔してるからな、と誠孝は、日子が聞いていたら、

「だから、相手の顔は自分を映す鏡なんですよ~。
 沙知見さん、いつもどんな顔で我々を見下してるか、自覚あります~っ!?」
と叫んできそうなことを思っていた。