昨日、あなたに恋をした

 これで日子がビクビクしなくなって、ゲームに誘ってくれたときみたいに、微笑みかけてくれるかもしれないと思った誠孝は嬉しくなり、

「これを見ろ」
とその汚れを指さしてみた。

 身を乗り出し、壁を見た日子は深く頷き、
「ゲソ痕ですね」
と言う。

 ……お前は普段、なにを見てるんだ。

「あ、いえ。
 汚れてますね」
と二時間サスペンス好きらしい日子は、慌てて言いかえる。

 どうだ、落ち着いたか? と誠孝は思っていたのだが。

 日子は、……はは、とちょっと困ったように笑って言ってきた。

「綺麗好きな人は、外でも汚れてるところみると落ち着かないんですね~」

 ……神経質なくらい綺麗好きなやつだと思われてしまったようだ。

 いや、俺は単に自分の居住空間が散らかっていると効率が悪くなるので、いつもきちんとしているだけで。

 別に潔癖症とかではないんだが、と思っていたが、なにも言えずに誠孝はエレベーターを降りた。