昨日、あなたに恋をした

「駄目です~っ。
 もう寝たフリできません~っ」
と言って、日子は側にいた誠孝にしがみついた。

 ああ、あの部屋の匂いがする、とその胸に触れた日子は思う。

 誠孝の服から、誠孝の部屋の香りがしていた。

 ほんのりとした上品な香り。

 初めて緊張して訪れた日のことを思い出し、泣きそうになる。

 誠孝は、
「話す本番、なくなったじゃないか」
と苦笑しながら、自分にしがみついている日子の頭をぽんぽんと軽く叩いてきた。

 思わず涙ぐんでしまった目元に手をやろうとした日子の両の手首をつかみ、誠孝は言う。

「今まで、誰も好きだとか付き合いたいとか思ったこともないから、よくわからないけど。

 お前だけは違う気がするから。

 ……だから。

 これから、ゆっくり考えてみようと思う。

 お前と、お前と過ごしたい、これからの人生のことを」

 そう言いながら、誠孝は日子を抱き上げた。

 そっと口づけてくる。

 日子はまだ混乱していたが、そのまま、あのひとつしかない寝室に連れ去られそうになる。