昨日、あなたに恋をした

 下から吹き上げてくる湖の風で冷えることは想定済みだった。

 ワンピースは初夏らしい色柄だが、実は生地が厚く。

 ワンピースの柄と同じ紺色のタイツに至っては裏起毛だった。

 そして、バックストラップのパンプスにはつま先用カイロが仕込んである。

 お洒落と季節感と暖かさを同時に叶えるのって難しいっと寒がりな日子は思っていた。

 だが、今日、この日のために、ない知恵を絞ってこの一週間考え、ちょうど良さそうな服を探し歩いたのだ。

 いつも一緒にいる誠孝さんと、ちょっと出かけるだけなのに。

 いつもだらしない格好見せてるのに、今更だと思うのに。

 なんで頑張ってしまったんだろうな、と日子は自分で自分を不思議に思っていた。

 誠孝がそんな日子の心の声を聞いていたら、
「いや、お前の中のだらしない格好ってどれなんだ。
 俺はまだ、例のパジャマっぽい部屋着も見てないんだが」
と思っていただろうが。