昨日、あなたに恋をした

 でも、シゲタカさんだけに漕がせちゃ悪いな、と思った日子は、
「かわりましょうか」
と言ってみた。

「……かわりたいのか」
と言う誠孝は、特にかわりたくはないようだった。

 楽しいのかな、ボート漕ぐの、と日子は思う。

「でも、ボートって言うと、事件が起こりそうですよね。
 岸に戻るときは大抵、ひとりなんですよね」

「お前の大抵はなにに基づいてるんだ。
 この場合、どっちが殺されるんだ、俺か? お前か?」

 そう誠孝が言ったとき、ぽつり、と日子の頬に雨の雫が落ちた。

「あ」
と見上げた瞬間に、どーっと滝のような音がして、突然、スコールのように降り始める。

「ええっ?」

「日子、大丈夫かっ?
 急いで岸に戻ろうっ」

 雨が打ちつける中、誠孝はスピードを上げて漕ごうとする。

「かわりましょうかっ」
「余計遅くなるだろうがっ」