昨日、あなたに恋をした

 


 薄曇りだからか、冷えるな。

 羽織る物持ってきといてよかった、と思いながら、日子は誠孝とボートに乗っていた。

 乗り場とは反対側の岸の方は木々が茂っていて、湖の上まで枝葉が張り出している。

 日子はその緑越しに空を見上げながら、
「素敵ですね」
と言ったあとで、誠孝に言った。

「ボートって、二人で同じ方向向いて二人で漕ぐのかと思ってました」

「湖の何処に向かって突進してく気なんだ、そのボート……」

 そういうのって、川下りとかだろうかな……。

 ゆったりとした湖のボートは漕ぐのは誠孝だけで、日子は向かいに座り、誠孝を眺めているだけでよかった。

 いや、本来眺めるべきなのは湖とか景色なのだろうが。

 日子は、腕まくりして漕いでいるシゲタカさんの腕、格好いいな、とつい、眺めてしまっていた。

 会議のときくらいしかシゲタカさんの仕事風景って見れないけど。

 腕まくりしてパソコン打ってても格好いいだろうな~とか思ってしまう。