「あの~、私、お雛様に見つめられてるんですけど」
「俺は鎧兜と弓矢に囲まれてるんだが……」
日子は雛人形の間、誠孝は鎧兜の間に布団を敷いてもらっていた。
二人で襖越しに会話する。
「たくさんのお雛様の中で寝るのも怖いと思うんですけど。
もうほとんど片付いてガランとした中に、ぽつんと残ったお雛様に見つめられてるのも怖いです」
雛壇が先に片付けられ、ダンボールの上に置かれてるやつなんか、かなり目線が近いのでより怖い。
「こっちはまだあんまり片付いてないから、完全に取り囲まれてるが。
やっぱり、それも怖いぞ」
他の部屋もあるのに、何故、ここ、と日子は節子に訊いたのだが。



