「おばあさまはお留守か」
「いや~、でも、このくらいの時間に来るとは言っといたんですけどね~」
中庭をぐるりと囲んだ廊下を歩いていた日子たちは、柱にはられた張り紙を見つけた。
『呪いの部屋、あっち』
半紙に筆で書かれている。
下にお習字を直すときの朱色の墨汁で矢印までしてあった。
「……『呪いの部屋、あっち』と書かれて行く人間がいるだろうか」
「我々、今、向かっているではないですか」
と誠孝と言い合いながら、廊下の角まで行くと、
『呪いの部屋、ここ』
の張り紙があった。
呪われてるだけなのか。
いっそ、開かずの間とか書いといてくれたら、開けなくていいんだが、と日子は思う。



