土曜日。
日子たちは電車で誠孝の実家に行った。
誠孝そっくりの上品な母親に挨拶し、家族で共有しているという二台の車のうちの一台を借りて、祖母の家に向かい、出発した。
まだ新車の匂いのする大きな車の助手席に日子は遠慮がちに座っていたが、しばらく走ったあとで、声を上げる。
「待ってくださいっ。
今、さりげなく物凄いイベントが発生しましたよっ?」
「なんだ、物凄いイベントって」
前を見たまま、誠孝が訊いてくる。
えっ?
いや、今、なんの心構えもなく、シゲタカさんのお母様にご挨拶したような……。
だから、なんだと言われたらあれなのですが。
今日はお片付けをするので、いつもよりラフな格好だったし。
突然行ったので、手土産も持ってなかったしっ。
日子は、誠孝に聞かれたら、
「待て」
と言われそうなことをウジウジ考えていた。



