昨日、あなたに恋をした

 そういえば、沙知見さんを最初にいいと思ったのも、あの声のせいだったかも。

 当時ハマってたアニメの声優さんと声似てたんだよな~、と思い出す。

 彼は自分が怯えているのに気づいてか、ゆっくりと落ち着いた口調で話しかけてきた。

「沙知見さんにも日子にも、あんたのことは言ってないから。
 あの二人は、ぼんやりして人がいいから。

 騒動が収まったら、もうアンチの正体には興味なくなったみたいで」

「……そんな感じですね」

 でも、いつか二人に暴露して謝りたい気はしている。

 楓さんは笑って許してくれそうだ。

 ……沙知見さんはわからないけどな。

 楓さんにメロメロのようだから、楓さんを傷つけた人間が私だと知ったら、許さないかもしれないな。

 そう思ったとき、
「じゃあ」
と彼はちょうど着いた駅で降りていった。