昨日、あなたに恋をした

 新品っぽい硬さの残るスリッパ様含め。
 いろいろと落ち着かないんですけど~、と思ったあとで、日子は、

 でも、こんな整った部屋に生息している沙知見さんにとっては、雑然とした私の部屋こそ落ち着かなかっただろうな~、と思う。

 だが、そこで日子は気づいた。
 沈黙がつづいてたっ、と。

「こっ、この中華スープ、絶妙の味ですねっ」

 朝飲んで出かけたら、身も心も温まって、いい感じに仕事ができそうですっ、などと慌てて言って、

「じゃあ、レシピを教えてやろう」
と言われてしまった。

 ……いいえ、教えていただいたところで作れません。

 いや、似たようなものはできるかもしれませんが。

 同じようには作れません、と思った日子は今言った、身も心も温まりますっ、という発言を撤回したくなる。