帰り際、玄関で靴を履いた誠孝は、少し沈黙したあとで言った。
「美味かったよ……」
「え」
「プッチンプリン」
え~、という顔をしたあとで、
「まあ、確かに」
と日子がプッチンプリンの美味しさを認めると、誠孝がちょっと笑う。
あ、笑った。
沙知見さんがやさしげに笑ってるっ。
我が家の玄関でやさしく笑ってるっ。
笑ったよっ。
沙知見さんが笑ったよっ。
繰り返し、沙知見さんが笑ったよっ、と思ったので、頭の中で誠孝がクラムボンになっていた。
いや、クラムボンって、結局なんなのかよくわからないのだが……。



