昨日、あなたに恋をした

「お前、腹が減っているのか」
と道に捨てられている子犬に訊くように、誠孝は訊いてきた。

「横浜に出張してきた後輩が、餃子をいっぱい買ってきてくれたんだ。
 お前もいっしょに食べるか」

「えっ?」

「知り合いの店で作ってきてもらったらしくて、真空パックでも冷凍のでもないんだ。
 今日、すぐに食べた方が旨そうだから、いっしょにどうだ」

「えっ?」

 二度も、えっ? と訊き返してしまったせいで、沈黙が訪れる。

「……無理にとは言わない」

 じゃ、と誠孝は豆腐と酢を手にレジに向かおうとした。

「あっ、いえっ。
 そうじゃなくて、申し訳なくてっ」
と慌てて追いかけ、日子は言った。

 すると、誠孝は振り返り、言う、

「じゃあ、来るか。
 十五分後に自分が呑みたい酒持って来い。

 日本酒とワインくらいなら、持って来なくてもうちにもあるが」

「あっ、では、沙知見さんがお好きなお酒を持っていきますっ。
 なにがよろしいですかっ」
と日子はすぐ側にあった、コンビニにしては、なかなか充実したお酒のコーナーを手で示した。