「沙知見さん、楓日子さん、よくご存知ですよね」
次の日、職場でそう尋ねられ、誠孝はギクリとした。
訊いてきたのは、テレビでよく見るグルメリポーターみたいな恰幅のいい男、石田だ。
石田は社内報も作っていて、取材で社内を回っている姿をよく見かける。
「あれ?
ここのところ、あの会社、沙知見さんたちの担当ですよね?」
返事をしない誠孝に石田はそう問うてきた。
……なんだ、仕事上の話か、と誠孝はホッとした。
「社内報で取引のある会社のインタビュー記事、ちょっと載せてるじゃないですか。
あれ、評判いいんですよね~。
仕事相手の意外な面が見れて面白いとか。
担当部署じゃない人たちが、あの会社こんな会社だったのか、とかあるみたいで。
美人で感じがいいって評判の楓さんをメインに特集組みたいんですよね」
「……あいつが感じがいいのは、仕事抜きのときだけだぞ」
日子は俺のことを鬼だと言うが。
俺が鬼なら、あいつは夜叉だ、と誠孝は思っていた。



